【氷と炎】⑭数原龍友 (ページ14)

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スタッフさんに連れられて退室してく元カレを見送って

残された僕と社長さんで無言の時間が流れた。

結構無茶な質問をぶっ込んだ僕的にこの沈黙は内心しんどい。

けど、スタッフさんにも社長さんにも怒られることはなく、ほんの一瞬だけでもアイツが正気に戻ったことにびっくりしたらしい。

｢数原さんの事はちゃんと見えてましたね。

こちらの事は見向きもしませんでしたがね｣

残念……というよりは諦めた感じの重苦しいため息を吐いた社長さんはこれからのことを僕に話してくれた。

週刊誌が既にこの事態を嗅ぎつけてること。

記者会見はそう遠くない未来に行われて、その後あいつは解雇……となるらしかった。

｢ちょっと待ってください。

解雇した場合、あいつの身元保証人は誰になるんすか？｣

解雇なんて簡単に言うけど、それってアイツを野放しにするってことで

もし万が一、今後に何かあった場合こちらから何かを訴えようにも交渉人が立たなくなる。

親？身内？

その辺はっきりさせて欲しい。

｢今後は事務所ではなく

あちらのご両親が面倒を見る形になります｣

あっさり言うてくれとるけど

それってもうこの面倒事からイチ抜けたって決め込んだわけやな。

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