【氷と炎】⑬数原龍友 (ページ48)

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「オヤジか！」

酒飲んでるわけでもないのに何やその質問。

反射的につっこんでもうたわ。

「え、だって

　そういう事したいじゃないですか、やっぱり好きな人とは」

「……否定できひんわ」

さすがにこのRAVEさんのテリトリーで僕個人の下ネタ話は避けるのが礼儀のような気がして軽く受け流したけど

この方、酔っぱらってらっしゃる？

「イチャイチャしたいじゃないですか？」

「そらしたいよ。

　でも記憶戻るまではできひんやんか。めちゃめちゃ我慢してるんすよ僕は」

素直な気持ちをできるだけ下ネタにならんよう綺麗な言葉で説明すると彼女は自分のスマホを取り出して僕に見せた。

「Aさんのめちゃめちゃカワイイオフショット持ってます。

　見たくないですか？」

僕が色々溜まっとると心配して気を利かせてくれとるんやろうけど

オフショットもなにも、あんまそれ誰かに見せたりせぇ方がええんとちゃうの？って

遠慮、しようかな、って。

「動画もあります」

「はよ見せて」

思わず彼女のスマホを小さな手ごと掴んで引き寄せた。

背の低い彼女の背中にくっついて、操作してくれとるスマホを覗き込む。

すぐさま画面いっぱいに普段からは想像つかないほどの幼い笑顔で笑うAが表示された。

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