【氷と炎】⑬数原龍友 (ページ40)

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照れて固まっとるAをベットに残して、とりあえず僕は仕事があるから出る準備。

一旦家に帰ってシャワーと着替え済ませたいし、となるともうここは出ないと間に合わない。

｢ファイナル、無理せんと頑張ってな｣

｢うん、ありがとう｣

いつの間にかAからも敬語が消えてて、それだけでまた距離が縮まったみたいな感覚。

｢北海道からこっち戻る時連絡してな。

それに合わせて僕もここにくるから｣

そばに居たAの頭を撫でて、それじゃあ行くわって時に見せるまた寂しそうな空気。

あんまり素直でつい笑ってもうた。

｢寂しかったら電話とかLINEとか

いつでもしてな｣

｢まあ、寂しかったら……｣

どこまでも強がるAは今日も平常運転やけど

そない眉尻下げて僕の事見上げてたら僕も離れられんくなるやん。

｢あ、北海道土産にカニ頼んでもええ？

カニ鍋しよか｣

ドアに向かう途中に振り返ってそう頼めば、めっちゃ嬉しそうな声で”わかった”の返事。

次の約束はもうあるけれど、また何か違う楽しみが出来たことは嬉しいらしい、Aチャン。

｢ほな、またな｣

ドアを開けて、外に出て。

振り返った先でその扉を閉める時……

あーもう、弱いねんその顔に。

一歩部屋の中に踏み込んで。

”またね”なんて手を振っとるけど、子犬みたいに耳をぺったんこにしとるAのほっぺにキスをした。

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