【氷と炎】⑬数原龍友 (ページ32)

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思い切り噛み付いたりせぇへんけど、甘噛み程度には歯を立てて

白い肌に僕の歯形をつける。

その上で、赤い痕の上に僕のシルシを上書きした。

二つとも。

「何をあいつに抱かれとんねん」

「……えと……ごめんなさい」

僕にされるがまま、身動き一つ取らないで……しかも謝っちゃうAは何も悪くないのに。

でも、あいつの付けたシルシの上に僕の付けた紅。

白い首筋にくっきり残るそれとペロリと舐めた唾液のあと……えろ。

「こんなん、Aからしたら僕もあいつも一緒やな」

好きでもない相手から押し付けられる愛情。

今の僕はあいつとやっとる事一緒や。

やってから大反省しても遅いっちゅー話で、嫌われてもおかしくないレベル。

「嫌いにならんといて」

そう伝えながら上から覗き込んだAの顔は少しだけ戸惑ってるように見えるけど、明らかな拒否ではないような気がする。

希望的観測やけどな。

頭の中でやっちまった自分を反省しつつ、でももうやってしまったもんは仕方あらへんしっていう開き直りの攻防をしとる時

自嘲気味に笑う僕の胸元にくっついてきたA。

どういう事や。

逃げるどころかすり寄ってきて、僕の腕の中に潜り込むようにしてきて

「おやすみなさい」

目を閉じた。

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