【氷と炎】⑬数原龍友 (ページ26)

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そのままAの髪を撫でてると、しばらくしてゆっくり顔を上げた。

「……ごめんなさい、泣くつもりなんてなかったんですけど

　なんか安心して泣いちゃいました」

腕の中からこっちを見上げとるけど、すっごい照れくさそうに逸らされた視線はまだ涙目で

不安が残るような色しとる。

「あかん、ちゅうしてまいそうやわ」

「え、それはだめ」

間髪入れずに拒否されて切なさ全開。

でも言い方が付き合ってた時みたいな口調でなんか嬉しい。

「もう寝とき。

　そばについてたろか？」

ヨシヨシって頭を撫でて子供に言い聞かせるいたいに言えば、"うん"って素直に頷くAチャン。

不思議なもんで、すっかり僕に甘えとる気がする。

僕はもう腕解放しとるのに、小さい両手はまだ背中にあるしくっついたままやしカワイイし。

ちっさい子供みたいや。

「ほんなら寝室どこや？」

「あっち」

左手は僕の背中のまま、右手だけで向こうの方を指さしたAは、ようやくこの体制に気づいたみたいで慌てて僕から離れていった。

「えー、くっついててもよかったのに」

「いや……モウダイジョブデス」

真っ赤に染まってる背中を見せながら寝室の方へと小走りや。

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