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……泣いてる？
あんまAが泣くっていうイメージがなかったからそれもまたびっくりで。
けど、小さな声で"怖かった"って短い言葉が発せられて、そこにすべてが集約されとると思った。
たった一年分やけど、記憶がないってのも本人からしたらストレスかかるやろうし
あの男からも恐怖を植え付けられて、怖くないはずがない。
なんで気づかへんかってん、僕。
この子があんま態度や表情に出ぇへんって知ってたやんか。
素直に甘えられへんから弱い所も見せられへんのに、怖いって事を誰にも言えずジッと1人で耐えてたって
なんで僕がちゃんとわかってやれへんの、マジで。
「ごめん」
「なんで謝るの。数原さん悪くないでしょ」
泣きながら笑うAに"そうやなくて"って。
「僕にはわかるねん、Aの事。
今も少し寂しがってるってのわかったし、入院中もそない体調良くないってのも
平気なフリしてたんもわかっててん」
それなのに一番大きな所わかってやれんかったとか
アホやん僕。
「せやからごめんな」
一度緩めた腕でもう一度ぎゅうってきつく抱きしめて、ゆっくり髪を撫でた。
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作者名：Rui
| 作成日時：2021年1月5日 23時
