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広いリビングのソファーを進められて座ってる最中にもうAは冷蔵庫から酒を出す。
相変らずやなって思いながら苦笑いしとると缶ビールを手渡された。
受け取ったのは左手。
もう隠すのもあれやし、右手そのままにしてたからやけど、当然視線はそこに。
「その手……昨日、怪我した……んですよね？」
斜向かいに座ったAは大好きな酒を開ける前、缶を両手で持ったまま僕の右手をじっと見とる。
変なカタコトみたいなしゃべり方になってるし、表情見れば泣きそうやし
どないしよって思って慌てて"裕太くんに噛みつかれてん"なんてわけわからん言い訳。
苦しすぎるし、なんやねんそれって自分でツッコミたい。
「絶対違う」
「デスヨネー……
まあ……これは何かされたってわけちゃうんで」
僕の拳が弱かっただけというか
バカ力過ぎたというか。
あんま気にせんでくださいって言った所で、"わかりました"とは当然ならへんよな。
自分のせいで怪我までさせて仕事に影響を及ぼした……みたいな感じに表情が曇りまくり。
「大丈夫やで。
これが結構仕事も平気やし、ライブも終わっとるから問題ないねん」
だいたい僕右利きやけど、両手器用な方やしって事を見せるのに
片手でプルタブ開けられるでって言いながら、左手で缶の淵を持って人差し指で器用にプルタブを起こした。
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作者名：Rui
| 作成日時：2021年1月5日 23時
