【氷と炎】⑨数原龍友 (ページ39)

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「なんでこないイライラすんねやろ」

ホテルのロータリーでタクシーに乗って、自分が泊ってるホテルに戻る途中車内でため息を吐き出した。

重苦しいそれが、下の方を這ってるような……そんな感じ。

自分の想い通りに行かないからイライラすんねやろな。

わかってんねん。

でもそれをAに当たるやなんて、男らしくない……。

わかってる。

自分がこんなにも余裕のない男やったなんて、自分自身にがっかりやわ。

あんなに好きで好きで、どうしても自分のものにしたくて

どんな形でもいいから付き合いたいって思って強引に付き合って

手に入れてく物がどんどん増えていくと、欲張りになってたわけで。

「でも、もっとLINE

　欲しかってんもん」

我ながら女々しい台詞。

「あっさり僕との間に壁作って

　簡単に指輪も外してた」

このガタイで何を言うてんねん自分。

呟く言葉に頭の中でツッコミを入れて

あー……最初から無理があったんかな、僕ら。なんて

さっきから手の中で弄んでるスマホで、LINEを開こうとしてるのにそれが出来なくて。

あーあ……なんて言いながら到着したホテルの自分の部屋に戻った。

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