[Voice]22登坂広臣

広臣side ページ44

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明け方に眠りについた俺が珍しく夢を見る。



久しぶりに見たAの夢。



夢というよりは過去の時間が映画のフィルムのように俺の中に流れ込んできた。



もう何年前になるんだろう、Aの病気を知った時の事。



確か、ツアーで地方に行っていた時にAが事務所で倒れたんだった。



もっと進撃にあいつの病気に向き合ってやるべきだったし



言葉通り付き添ってやるべきだった。



いなくなったあいつとラベンダーの中で再会した時に、その姿がないことに散々後悔したってのに



なんか俺、同じことを繰り返しそうな気がする。



もうAはいないのに……じゃあなにに後悔？



わからないまま、夢の最後はあいつが残した動画のVisionで終わった。



「……なんだこれ、

　どういう事？」



夢に意味があるのかなんてわからないし、意味なんてないものばかりだったけど



なんか今日のそれは意味があるもののように思えてきた。



短い睡眠から目覚めて時間を見れば朝9時。



事務所に行くのは午後からだから、じゃあ



「病院に行けって事、だよなーきっと」



Aがそう言っているような気がした。





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