[Voice]22登坂広臣

広臣side ページ21

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小さな猫は寝息を立ててすっかり寝入ってる所。



丸くなって、どっちが頭なの？っていうぐらい包まっててカワイイ。



隣に座れば少しだけ身じろいでピコンと飛び出た耳を動かしたけれど、逃げる様子もなくてすっかりくつろいでいる。



「明日で最後だけど、今の心境は？」



俺んちの冷蔵庫から勝手に撮り出した缶ビールのプルトップを押し上げながら直人さんが言う。



今日何度も味わったこの心境というもの。



今は、これまでの思い出が頭の中でミラーボールみたいにキラキラしてるだけ。



手渡された缶ビールを受け取って、一口飲む。



こうやって味わうライブ前日の緊張感や、メンバーである直人さんが家の中にいる当たり前の空気。



それも今日で終わりかと思うと心境は寂しいって感情に変わっていくけれど



突如鳴り響く携帯の着信音にその感情は消えていく。



「……」



画面を見たまま固まる俺。



"出ないの？"なんて相手が誰だかわかってて言う直人さん。



「……なんだよ隆二！寝ろよ！」



"明日ラストライブなんだから！"なんて言葉をビールを飲みながら電話の向こうに言い放った。




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