[Voice]22登坂広臣

広臣side ページ19

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「え、カワイイ、猫カワイイ」



俺が暴れる猫を抱いてトンネルから出てきた所に直人さんが走り寄ってきてもうメロメロ。



この人動物好きなんだろうな、目が孫を見るような目だし。



「真っ白な子猫だね。

　まだ生後半年も経ってなさそう」



言いながら子猫の頭を撫でようと伸ばした直人さんの手は白い小さな手で弾かれる。



きっちり立てられた爪痕は俺と同じで小さな傷を作っていた。



「ごめんごめん、怖いよね。

　お前はどこから来たのかなー？」



人間の子供に話掛けるように優しく声を掛けてる直人さんに子猫は全く警戒心を解くことなく威嚇しまくりだし、ちょっと笑っちゃう。



まあ猫っていう存在からしたら俺らみたいな人間は個体も大きいし怖いってのは当然のことだけどね。



それなのに、この子ってばなぜか今は俺に懐いている？



直人さんが近づこうとすれば俺の腕の中に顔を押し込んで逃げてる……っていうか俺に守られようとしてるっていうか。



「俺ちょっと傷つくー」



「よしよし、変なおじさんの事なんて相手にしなくていいからねー。

　一緒に家に帰ろうか」



「え？連れて帰るの？」



もう家に向かって歩き始めてる俺の後ろを驚きながら追いかけてくる直人さんに



"そうだよ"って言って。



振り返りながらこう答えた。



「銀さんって名前にすんの」



「え？そこはAじゃなくて？」



苦笑いしてるAさんが俺の腕の中に向かって"銀さん"って呼んだ。




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