広臣side ページ49
※
「少し履き慣らしておけよ？
旅行ん時足痛くなったりしたら困るっしょ」
あんまり嬉しそうに足元を見てるから、聞こえてないだろうけど一言伝えた俺に
見せたこともないような満面の笑みで"はいっ"なんて返事を返されたらもう完全射貫かれるっつの。
なのその可愛い笑顔。
なにその可愛い返事。
くそ…俺ばっかり…。
ぬるくなったビールを煽りながら苦笑いを悟られないようにごまかした。
フローリングの上を数歩歩いてまた笑顔のA。
その笑顔のまま俺を見た。
「ところで変装って…鼻眼鏡とかした方がいいですか？」
「余計目立つわ」
ケタケタ笑う声に変装と言えば鼻眼鏡！なんて楽しそうなAだけど
確かに変装は…どうすりゃいいんだろ。
俺がするべき？それともA？
2人揃っての方が一番安全？
「車で行くからそこまでガチな変装はしなくてもいいけど
帽子とかは必要じゃね？」
「車…ですか？」
そりゃそーだろ。
さすがに新幹線とか電車とか無理。
バレたらとんでもない騒ぎになるし。
「一応車持ってんの。事務所的に運転本当はダメだけどまあ内緒って事で」
なんて言えばまた右手を挙げるAチャン。
妙に目を輝かせて"私にも役に立てる時が来ました"なんて嬉しそう。
「お任せを、ご主人様。
ワタクシ運転できますです」
嬉しそうに言うけどさ
「…アンタ免許不携帯でしょーが」
言ってやれば空気が抜けた風船のように縮こまってしょんぼりしちまった。
まあしょーがねーわな。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 892人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Rui
| 作成日時：2017年9月19日 14時
