広臣side ページ36
※
腕の中で丸くなって
素肌のまま俺に捉えられてるAのぬくもりになんだかホッとする感じ。
俺の胸元に伝わる背中からの鼓動。
時計の針みたいに規則的にリズムを刻んでて、ああ生きてるな…なんて変な事を思う。
ほんのちょっと体温が高くて…丸くなってほんっと猫みたい。
「なあA」
「なんですか？」
寝入る寸前だったのか少しだけぼんやりした返事が返ってきた。
「半年後、ここを出てくって話」
「………はい」
「出てかないで欲しい」
ずっとここに居ればいいじゃんなんて言葉で言うのは簡単だけど現実はそうでもない。
俺の立場的に難しい事や問題は山積みで、"じゃあ半年後から正式に同棲"なんて言ってもきっと無理。
それはAもわかってる事でそれを理由に断りの言葉を並べてくるけど
そうじゃない。
Aの気持ちの部分を知りたかったけど…現実問題で無理な以上そこを追求する資格が俺にはない。
「じゃあ…さっきのお願い守って」
「さっきのお願いって…なんでしたっけ？」
もう忘れてるAに後ろから頭突き。
"いたい"なんて訴えてくるAにもう一度言ってやる。
「俺以外の男の家に行かないで」
ここを出て、次に拾ってくれる人の家が男の人だったら俺気が狂いそう。
こんなかわいい子が家にいて、ちょっと強引に攻めればいやらしい顔を見せてくれるわけでしょ？
俺絶対無理なんだけど。
長く一緒に住めないって事はわかってても、
連れ戻しにいくわ、全力で。
・
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作者名：Rui
| 作成日時：2017年9月19日 14時
