[axis]⑪登坂広臣 (ページ50)

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広臣side ページ50

※

テーブルの上に酒と…武にはコーヒーを置く。

気分を変える為にもそれぞれ口をつけるけど、それほど呑み込めてはいけないようだった。

「最初から言ってくれたらよかったのに…」

呟いたAに大輔さんの言葉が"ごめん"しかない。

でも、計画ではもっと後に来るはずだったこの後継者問題が、思いがけず早くやってきたのは大輔さんだって誤算だったわけだから仕方がないわけで。

でも、当の本人たちに今この話を素直に受け入れるのは難しいと思う。

「なんか、僕たち大輔さんに踊らされてたってわけ？」

武の言葉にも謝罪の言葉が向けられるけど、一つだけ否定したのは"踊らされてた"という言葉。

「そんなつもりはなかったし、悪気もない。

　嫌な気分にさせて悪いと思ってるけど…本当の事を言えなかったあのタイミングもわかってくれたら嬉しい」

大輔さんが言葉を選んで話してくれているけど、ほんの少し空気が悪くなる。

Aと武が苛立ってる証拠。

当然無理もないと思う。

言ってしまえば嘘をついて周りが慌ててるのを眺めていたわけだから、腹が立つっていう気持ちもわかる。

武が言うように踊らされてたと思うのも当然の感情で、一生懸命になってる自分達をただ眺めていただけなのかって

そんな苛立ちが顔を出してきてしまうのも

仕方がないこと…。

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