[axis]⑪登坂広臣 (ページ49)

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広臣side ページ49

※

Aのその疑問は当然だよね。

俺でもそう思うもん。

ひねくれてる武なら"自分がトップになりたいから都合のいい事を並べてるだけ"なんて言い出しそうだし。

チラッと武を伺えば、今はそんな様子は見せていない。

その視線を大輔さんに戻せば、小さな苦笑いを一つ見せて。

"だって"とそのたった一つの理由を口にした。

「俺、ジャンケンで負けたじゃん」

って。

「……そんな理由！？」

しかもそれって子供の頃の話…なんて驚くAだけど、大輔さんはその時にはもう思っていた事だと打ち明けた。

自分達の生きる世界が狂っている事

自分には同居してる祖母がいて、その人のおかげで正気を保てたという事も全部話した上で、ただ一人祖母に護られていた俺が2人にしてやれる事はこれしかない、と

そう言った後に、2人に頭を下げた。

謝罪の理由は自分を偽って接していたという事だ。

「決してバカにしてたわけでも嘲笑っていたわけでもない。

　こうするしかなかったって事をわかって欲しい」

どんどん展開していく話に、どうやらついていけない2人。

「少し何か飲む？」

なんて、俺の方から声を掛ければ、Aの声だけがやってくる。

"お願い"って。

そう言った声が、動揺を隠し切れないでいた。

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