[axis]⑪登坂広臣 (ページ23)

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広臣side ページ23

※

「あいつがもう日銀とは関わりたくないって思ってんの、お前知っててなんでそういう事すんの？」

その質問に対して笑った武が答えを口にしようとして、俺の携帯が鳴り出した。

奏でられるのは着信音、たぶんAじゃないかと思う。

「出れば？きっとAだよ」

武にも言われて電話に出れば、向こうではAがやつれたような声で"武がいない"なんて言っている。

バックが騒がしいから皆が探してるんだと思う。

「あー…うん、武ね…」

ここにいます、って言えばAも来るだろうし、まあ来てもいいんだけど

まだ少し武と2人で話がしたい。

「ごめんA。俺仕事に行かねーと…」

電話を切りたい素振りを見せればすぐに悟ってくれて"また夜に"なんて言われるけど

ちょっとだけ罪悪感もあって、切れた電話をライン画面に変えると一言送信する。

武には気づかれないように、"今武と一緒。こいつと2人で話がしたかった"そう送った。

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