[axis]⑪登坂広臣 (ページ22)

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広臣side ページ22

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相変らずつけっぱなしだったテレビの中では、騒がしく誰もいなくなった会場が映し出されていて

リポーターさんが忙しそうにスタジオと会話している。

「結局お前の親も関わってたんだな」

内部告発についての事。

椅子に座りながらもう全員じゃん、って言えば武は"そうだよ"と言う。

「全員狂ってんだよ、親も僕たちも」

呼吸を整えて起き上がる武は"久しぶりに走った"と笑っていたけれどすぐに表情を変える。

笑顔を見られたくないのか、それとも俺に警戒してるのか…。

「で、僕に何の用？ここまで連れてきて何もありませんって事はないでしょ？」

「…あー…うん。悪い完全にノープラン」

ここまで連れてきてなんだけど、本当にノープラン。

何か話したいとかそう言う事もあるようなないような…、でも2人きりで誰にも邪魔されない空間があれば

少しだけでも武の本音に触れる事ができるんじゃないかと思った。

「なんでまたAを会長に指名したわけ？

　大輔さんじゃだめなの？」

「あー、その事。

　だってさ、A指名した方が話題性あるじゃん」

すげぇ無邪気に言い放つ武の姿に無性に腹が立つけれど、まるで遊び感覚で発言してる武にきっと罪はない。

きっと本当に子供の遊び。

実際子供だしね。

こんな風に育てられた事、こういう状況を生み出した事は全て

親の責任だ。

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