[axis]⑪登坂広臣 (ページ20)

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広臣side ページ20

※

「あれ？何やってるの？登坂さん」

扉の中からは母親らしき人の金切り声が聞こえてくるけど

一瞬後ろを振り返った武がその扉をばたりとしめた。

そして俺の姿を見るや否や、驚く事もなくニヤニヤ笑ってる。

でも、なんか違和感。

それが俺がここまで走らせた理由。

警戒していたスタッフさんが俺と武が本当に知りたいだって事を見て知って、道を開けてくれたから。

すぐに一歩踏み出して武を抱きしめた。

大きく開いた腕の中にしっかりと、逃げらんねーように…。

当然男を抱くなんて変な趣味持ってねぇけど

こいつはまだ子供。

実際抱きしめた腕の中の武は、まだ線の細い少年で武もA同様、

こうやって誰かに護られる愛情を欲してるようにも思えた。

それにAよりも幼い少年が1人で実親を告発したんだ、心が無事なわけない。

「どしたの？登坂さん」

普段を演じているような声色の中

わずかに俺の腕に、動揺している武の感情が触れた気がした。

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