[axis]⑪登坂広臣 (ページ18)

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広臣side ページ18

※

「自分が未成年である事、経営学やこれから学んでいかなければならない事があるので、私が正式に総裁へ就任できるまでは会長へ就任するだろうAさんに舵を取ってもらう考えです」

それは要するに

実質総裁職はAがやるという事。

あれだけ逃げようとしていた総裁の座がまた身近にやってきた事。

最初に質問は受け付けないと宣言したからか、武は言うだけ言って笑顔を振りまき何も答えない。

Aの方にも聞き取れないほどの質問が飛び交っているけれど、答えようもないようで一点を見つめて黙っている。

「…またかよ…」

画面の中で呆然とするAに思わず言葉が零れた。

あんなに頑張って、あんなに必死になってようやく日銀と離れられたと思っていたのに。

会長への指名…。

しかも総裁職も兼任。

世の中は、そりゃ仕事ができると言われてるAがより上の立場に着けば安心だろうし、そう願っているかもしんねーけど

本人はそうじゃない。

それに大輔さんの立場だってあるしなにより

あんなに必死に頑張ったのに

当初の問題よりも、当初の役職よりも更に上の役職が厄介な荷物を引き連れて舞い戻ってきた

そんな感じがする。

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