[axis]⑪登坂広臣 (ページ13)

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広臣side ページ13

※

俺は人の少ない所でタクシーを降りる。

「んじゃ。また夜に家で」

「臣も仕事頑張ってね」

そう言ってAだけ乗せたタクシーはホテルの表側に回って報道陣の集まるど真ん中に停車される。

たくさんのリポーターの声とフラッシュの真ん中を、昨日俺の上でカワイイ顔を見せてくれていたAとは思えないほど強くカッコイイ顔で通り過ぎていく。

遠目で見ていた俺ですら、そのオーラに一歩引いちまうほどに。

「さて」

昨日と同じ格好の軽い変装のままとりあえず、ホテルの一部屋を押さえてそこへ行く。

なんとなくだけど、砂羽さんみてーに不倫匂わせておいた方がいいんだろうか？なんて一瞬考えたけど

普通に部屋は取れたし、なんか疑われてるような、俺が俺だってバレてるような空気もなかった。

9階の部屋に入ってテレビをつける。

この前と同じ行動をして、画面を見ながらベッドに寝転んだ。

相変らず画面の右上には速報の文字だし、スタジオでそれを見守るキャスターの人とどこかの偉そうな人はこれから起こりうるそれぞれの予想を難しそうな顔で話している。

「代理就任になるんじゃないでしょうか。まだ未成年ですしね」

そんなわかり切った事、難しい顔で言わなきゃなんねーもん？なんて思いながら賑やかに映る日銀前の画像をぼんやり眺めていた。

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