[axis]⑦登坂広臣 (ページ41)

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広臣side ページ41

※

この日銀という場所は色んなことがありすぎる。

A達の人格さえも壊していく人達。

すげぇ昔から日銀の…それも血筋関係者の中ではずっと繰り返し行われているだろう不正。

奇跡的に見つけたあの資料からも前の会長がやっていた不正にごく近いものの証拠も出てきたし

現会長たち三兄弟をこんな風に育てたのも前の会長。

もしかしたらそのじーさんだって自分の親やその上の代の人間に相当辛い育てられ方をして不正をすることを当たり前のように教えられてきたのかもしれないけど。

なんだろう。

すげぇ苦しくなってくる。

しかも武が言ったように、その犠牲の上に俺達の生活が成り立ってたかと思うと、それもまた苦しさを増長させるもの。

押し黙る俺を心配したのかAが少しだけ寄り添ってくる。

「武に何か言われた？」

「…なんでそう思う？」

疑問に疑問で返した俺に、それを確信に変えたAが答えではない言葉を口にする。

「根はいい子だから」

そう言って、Aは昔の思い出に意識を彷徨わせているのかしばらくぼんやりと宙を見つめていて。

ただゆっくりと時間が流れていくのを待っていた。

そしてやってくる約束の時間。

「そろそろ行こうか」

目にはっきりとした色を宿したAがゆっくりと立ち上がった。

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