[axis]⑦登坂広臣 (ページ33)

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広臣side ページ33

※

静かな空間で、小さな涙の音を聞いて。

どういう意味の涙なのか聞けないまま、背中からAが離れていった…。

「ごめん、疲れてるのに」

「別に疲れてるからって背中一つ貸せないような男じゃありませんからー」

わざとおどけて言うと少しだけ笑ったA。

それでもまだ満たされていないのか、右手で俺のシャツを握りしめたままだった。

子供みてぇ。

こういうのを見ると、小さな頃に親から愛情を貰えてなかったってのがよくわかる。

縋るようで甘えてるようで

でも遠慮してる。

3歳ぐらいの子がやるような仕草に見えるから…。

Aはどんな子供時代を過ごしたんだろうって…知るのが怖いけど知りたいと思う。

Aの事は何でも知りたい。

小さな手が離れていくのを待って。

交代でシャワーを浴びて、寝室に入ったのが昼少し前。

「夜、武とどんな話合いになるんだろうな」

ベッドに入り、隣をポンポンするとはにかみながらも嬉しそうにベッドに上がってくるA。

背中に来るかと思ったけど、素直に腕の中に納まった。

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