[axis]⑦登坂広臣 (ページ31)

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広臣side ページ31

※

「とりあえず、今日はゆっくり休もう。

　月曜日に控えて明日も極力誰とも接触しないように。特に日銀関係者には」

大輔さんのその言葉に全員無言で頷いて、凝り固まった体をそれぞれが伸ばしていく。

いくつかお互いを労う言葉を掛けながら、自宅に帰ろうと玄関に皆が進んで靴を履く。

俺の隣に並んで2人を見送るAに当然野村さんが反応するよね。

「帰らないの？送るよ？」

すでに扉を開けている大輔さんも不思議そうにこっちを見てるけど、Aは俺を見ながら2人に話す、ここに住むことになったことを。

しかも

なんか照れてる？

「なに照れてんの？」

あんまりカワイイからからかいたくなった俺の言葉に瞬間的にキレたA…と野村さん。

AはAで"照れてない！"なんて顔を真っ赤にしてるし

野村さんは"俺の婚約者"の一点張り。

まあ野村さんはそう来るなとは思っていたけどさ、Aがこんなに照れるとは思ってなかったんだよ。

ギャーギャー騒ぐAともう少し攻撃的になるかと思っていた野村さんだけど

今日は妙にバロメーターが低い…というか

一瞬火はついたものの、あっさりと収まりを見せて大輔さんと一緒に帰って行った。

何か企んでるとか

もしかしたら俺に苛立って裏切るとか…なんて一瞬そんな事を考えたけど、

そうじゃなくて…嫉妬っていう感情が薄くなってきてるような

そんな印象を受けた。

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