[axis]⑦登坂広臣 (ページ20)

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広臣side ページ20

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こんな夜は色々考えることが頭の中を巡る。

日銀のこととか、総裁のこととか

でもやっぱり考えるのはAのことで、とにかくあの親から切り離したいのと･･･

後ひとつ、俺の中の半分を占めるぐらい考えちまうことがある。

それは武のこと。

俺に弟はいねーし、あの歳の知り合いもいねーけど

あの子は多分、頭がいいだけに自分をよく理解していて壊れていることを知っていた。

だから、そんな自分が嫌で誰かに助けてもらいたいと思ってる。

きっと本人に聞けば"何馬鹿なこと言ってんの？"って笑われるだろうけど、でも自分を理解してくれる人に出会えたと

本心で喜ぶと思う。

まだまだ無邪気な歳。

大人みてーな感覚の中で生きてるけど、本来の姿は必ずどこかに眠ってるはず。

こんな言い方おこがましいけど。

助けてやりたい。

Aに対する気持ちと同じぐらい強い気持ちでそう思う。

きっとあいつ･･･弟とか後輩みてーな感じで俺と気があって仲良くなれる気がすんだけどな。

そんなことを考えながら、静かな空間の中で偶然手を伸ばした先にあった資料。

それを引き寄せて目を通した。

Aも野村さんも武も

全員この日銀の呪縛から解いてやりたいなんて思いながら･･･目にした資料の中身は

まだパソコンや電子機器が流通する前の日銀の帳簿。

すごく達筆な字で書かれているのは墨を使った字で、長い歴史を感じさせられた。

同時に

この呪縛･･･

かなり根深いものだというのも痛感した。

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