[axis]⑦登坂広臣 (ページ18)

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広臣side ページ18

※

「逃がしてあげる。

　でも約束してくれる？」

鍵を受け取らない俺に武はお構いなしに続けていく。

「明日のこの時間、うちの親にも誰にも気づかれないようにAと一緒に俺の家の俺の部屋に来て。

　場所はAが知ってる」

そう言うといつまでたっても受け取らない俺に、武はその鍵を床に置いた。

「明日の朝8時、セキュリティーが解除される。

　土曜日だけど少しの人が出勤してくるし、ある程度の出入りがあるから、それに紛れて外に出て。

　understood？」

無反応な俺におちょくるような英単語。

つーか

「誰かを囮にするつもりはねーって…」

言いかけた傍から武はドアを開けて出て行っちまう。

慌てて追いかけようとした俺に聞こえるのはセコム到着の声。

「おーい、こっちだよー」

なんてふざけて叫ぶ武の声に、"またか"と言った呆れた大人たちの反応が見えて。

壊れた笑い声を振りまきながら武が警備員相手に走り回っていた…。

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