[axis]⑦登坂広臣 (ページ14)

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広臣side ページ14

※

話してくれた内容は俺からしたら頭が痛くなるそれ･･･。

引きこもりで･･･自宅でやるゲームに飽きて

毎晩この日銀内でスパイごっこをして楽しんでいると。

見つかることもあれば見つからないこともある。

それように用意したというこの警備員の衣装を着て、毎晩遊んでいるっつー

ばかばかしい話。

もう普通の感覚なんて一切ないだろう武は目をキラキラさせながら話してくれる。

「セコムを作動させて鬼ごっこしたのは楽しかった！」

そう言って、何も言えないでいる俺を察することもせず"ね？だから逃がしてあげようか？"なんて言う。

「･･･悪りぃけど、人を囮にするなんてやりたくないんで。

　リアルゲームなら勝手に一人でやってろよ」

あまりに非常識で、あまりに異常で信用ができない俺に、武は怒るでもなくまた笑う。

「いいの？証拠のマイクロSD、オニーサンが持ってるんじゃないの？」

へらへらした笑顔にそう言われて"なんで知ってんだ"って心臓がいやな音を立てた。

でも武はやっぱり脅してくるわけじゃない。

俺を逃がそうとしてくれる。

なんでだ？

「･･･もしかして、告発してほしい側の人？」

そう聞いた言葉に、突然気味の悪い笑みがスッと消えて能面のような表情になる。

「そりゃそうでしょ。

　じゃなきゃ田中理事のこと調べたりしないよ」

さっきから気になっていた田中理事という名前。

すっかり頭の中から抜けてたけれど、田中って･･･もしかして

「田中理事って大輔さんの親？」

「当たり前じゃん」

一呼吸の間もおかずに即答で返ってきた。

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