[axis]⑤登坂広臣 (ページ48)

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広臣side ページ48

※

「ねぇ臣？本当に行っていい？」

電話の向こうでパソコンを閉じた音がする。

それと同時にAが俺に向けた言葉に俺は当然だと返事を返した。

「おいで。内部告発したらそこから色々取り調べだとか辞任だとかあんでしょ？

　その前にもう俺んとこ来てたら？」

日銀を辞めて、仕事も家もなくなる前に全部引き払って俺んとこに来てればいい。

ごたごたの中で引っ越しだとかしてたらそれこそマスコミの餌食。

だったらもう来てればいいじゃん、ここに。

俺の考えがAにも伝わったらしく、何度も念を押された。

「ほんっとにいいの？」

「お前結構しつこいね。いいって言ってんじゃん。

　今すぐ来てもいいっつーの」

そう言い切った俺と急に静かになる電話の向こう。

なに？また野村さん？って警戒する俺だけど、聞こえるのはAの小さな声だけ。

「ん？なに？聞こえない」

そう言って何か言ってるAにもう一度、って言えば。

ちょっと怒った口調がやってくる。

「今から行ってもいい？って聞いてるの！！」

何怒ってんだ？

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