[axis]⑤登坂広臣 (ページ40)

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広臣side ページ40

※

「今の言葉、後悔すんなよ」

そう言って、ポケットから取り出した何かを俺の胸に押し付ける。

「なんすかこれ」

「見りゃわかる。

　とりあえず、さっさと日銀の方を片付ける。んで、Aが総裁の座を降りたら

　お前を潰す」

片付ける？Aが総裁の座を降りる？

何の話だ？って思って押し付けられたそれを受け取れば、日銀で発行されている通帳が二通。

「この通帳って…」

そう呟いた言葉に反応したのはベッドで俺達の様子を伺っていたAで

飛び跳ねるようにしてベッドを降りると俺の手の中を覗き込んだ。

「架空口座！」

一瞬にしてこれがなにか理解したA。

興奮気味にそう叫ぶと、野村さんを見た。

「これ…まさか」

「そう。親父の所からパクってきた。

　だから間違いなく、裏金はうちの親父に流れてるって事」

そう言った野村さんは強い視線で俺を見た。

それは敵意というよりは…なんだろう、仲間…ではないけど悪い感じはしない。

こういう風に切り替えれる辺り、やっぱり大人っていうか

感情の部分をうまくコントロールできるのはすげぇなって思う。

「お前も手伝え。一気に告発するぞ」

野村さんの声が静かな空間に響き渡った。

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