[axis]⑤登坂広臣 (ページ23)

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広臣side ページ23

※

野村さんが帰ってしばらく。

ソファーに沈む俺はすぐ傍のAの背中を見つめていた。

一度大きなため息を吐き出して、そのまま黙ってるA。

何かを考えてるのか、何か悩む事でもあんのかわかんねーけど、その沈黙を見ているとしばらくして立ち上がった。

「なんか飲む？」

そう言ってキッチンに行くその後ろを追いかける。

「疲れてんじゃねーの？」

「まあ…。でも少し飲みたい」

びっくりするほど広いキッチンに入るとでっけぇ冷蔵庫があって。

開けると…

「お前…これでよく俺んちの冷蔵庫の事言えたね…」

酒しか入ってねぇし。

このキャパで酒がぎっしりとか、どんだけ飲むんだよこいつ。

「てかさ、来客があったらどうすんの？」

「酒を出す」

潔く言い切ったAがある意味男らしい。

俺コーヒー買いに行っちゃったしね。

中からスパークリングワインを二本取り出して

棚からグラスを2人分。

準備をするAに声を掛けた。

「あれから証拠の方は…どうなの？」

渡されたオープナーでワインを開けながら聞けば"進展なし"の返事。

「そっか。少しは休めてんの？」

そう聞いた言葉にも、Aは首を横に振るだけだった。

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