[axis]④登坂広臣 (ページ10)

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広臣side ページ10

※

2～3回コールが鳴ったあと、すぐにAが電話に出た。

野村さんが何度かけても出ないって言ってたのに、すぐに繋がる携帯。

「お前今どこ？」

「え？今市さんの家だけど？」

そう言う通り、電話の向こうで隆二が何か笑ってる声が聞こえる。

だから間違いなく隆二の家にいるし、何か問題が起きたようにも思えない。

「さっき野村さんから俺の方に電話が来た」

そう伝えれば"そうなんだ"と特に興味なさげな返事。

Aは俺の電話の意味が理解できないようで、ちょっと間が開いた。

「つーかさ、なんで野村さんの電話に出ねーの？お前。

　すげぇ心配してたけど」

昨日まで散々甘えてたくせにってちょっとイジワルく言ってやれば

"だって"なんて言うAが俺の名前を出した。

「臣、野村からの電話に出ると怒るじゃん」

「………。

　……あ？俺？」

「昨日自分で言ったでしょ。なんで野村の電話は出るんだって。それでキレて帰ったじゃん」

「どういう事？」

よく意味が分かんなくて聞き返せば、"だから！"と少し声を荒げたAがはっきりと言った。

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