[axis]④登坂広臣 (ページ37)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:309,697 hit

広臣side ページ37

※

Aが弁護士達に連れられて日銀に戻った日の夕方。

世の中にはニュース速報が流れた。

第四十五代日銀総裁、第二後継者A正式指名。

その速報が流れ、号外新聞が発行され…テレビのニュースでも持ち切りで

ついでに俺の携帯も鳴りっぱなしだった。

「ねぇ、どういう事！？かくまってたんじゃないの？」

電話の向こうで直人さんがシャウトしてる。

今日はメンバー全員バラバラの仕事で、そのメンバーから順番に電話がかかってくるから説明すんのがしんどくなってきた。

だって同じ事を5回。

隆二は事情を知ってるから説明入らないけど、自分が安易に玄関を開けた事を悔やんでるっぽくてそれを慰めるのに手こずってる。

「だからぁー、Aが自分の意志で戻ったんだって。

　なんか調べる事があるんだってさ」

「でも、正式指名されたって事は遺言書が公開されたって事でしょ？

　もし本当に総裁になる事になったら…俺のせいじゃん」

今日は俺んちで2人、酒を飲みながら話してる…っていうか、慰めてるっていうか。

でもまあ…こんなに早く遺言書公開をしてくるとは思わなかった。

相手のが一枚上手なのかもしれないと、少し不安にもなる…。

なんとなく伸ばした手で掴んだリモコンでテレビをつけると、ちょうどニュースで日銀が取り上げられていた。

「あ!A！」

画面を指さす隆二に言われなくても俺にも見えてる。

綺麗に整えられた姿のAが。

・