[axis]④登坂広臣 (ページ29)

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広臣side ページ29

※

「なに隆二んとこに行こうとしてんのお前！」

部屋を出ていった小さな背中を追いかけて、俺も部屋を飛び出した。

「あんたが今市さんとこに行けって言ったんでしょ！」

そう言って、ノックもせず勢いよく隆二の寝室のドアを開け放ったA。

「うっわ！びっくりしたぁぁー！！」

Aが飛び込んでいった部屋の中から隆二の叫び声。

「今市さん！一緒に寝て！」

「は！？え！？なになに！？」

2人が言い合う中に俺も飛び込んで目の前にいたAの腕を掴んだ。

「お前、ふざけんなよマジで！！」

「うわぁ！！怖いよ臣！！」

俺の怒鳴り声に反応したのは隆二だけで、俺に捕まれているAは無反応。

てか無視決め込んでる。

「切れられる意味が全くわかんない。そんなに私が嫌いなら臣の傍に近寄らない」

強気に顔を背けて一切俺を見ない。

また昨日と同じように俺達を見て隆二があたふたしてるっていう展開に、結局昨日も今日も俺の態度で起きた事なんだよな、と一瞬反省もしてみる。

でも

俺を嫌いな人間にどう伝えたらいいかわかんねーし

嫌いなわりに距離のない事をしてくるこいつの心理もわかんねー。

「ごめん隆二。驚かせた」

そう言って、抵抗するAを男の力で強引に部屋から引きずり出した。

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