[axis]④登坂広臣 (ページ28)

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広臣side ページ28

※

「なんなのお前、なんでこっちくんの」

寝たふりから急に声を掛ければ、少しだけびっくりしたように体を震わせたAが後ろで"なにが？"なんて言っている。

その声がもうすっかり眠気に覆われていて、ここが定位置とでも言ってるような感じ。

「1人が寂しいなら隆二んとこ行けよ」

変な強がりでそんな事を言うくせに、行かないで欲しいと思う自分の感情が我ながら女々しい。

かまってちゃんみてーだし、自分で突き放しておきながらしがみ付いて欲しいとか

なにやってんの？俺。

内心でそんなことを考えてるなんて思ってもみないだろうAは後ろで少しだけ身じろぎして。

「んー…でもここが一番落ち着く」

なんて言ってぎゅうぎゅうしがみ付いてくる。

「無理。向こう行けって」

「ヤダ」

何が何でも動かないAと意地っ張りな俺の攻防。

背中で押せば、狭いベッドからAがドサッと落ちた音。

ついでにどこかに頭を打ったような鈍い音もした。

「いた…」

「あ、わり…」

慌てて振り返って、ベッドの下に落ちてるAの腕を掴み上げれば

立ち上がるAが頭を押さえながら怒っている。

「もういい！今市さんのとこで寝る！！」

そう言って、俺の上を飛び越えて部屋を飛び出した。

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