[axis]④登坂広臣 (ページ22)

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広臣side ページ22

※

「あー…すんません、登坂です…」

Aの携帯を通じて野村さんに声を掛ければ、Aはどうしてる？って聞かれる。

その声からわずかに、機嫌の悪さが伝わってきた。

「えっと、今手が離せないみたいで…」

なんて答えたらいいのかわかんなくて、野村さんの気を悪くさせないような言葉を探せば

目の前で俺の言葉を聞いていたAが天然なのかなんなのか

すっげぇ不思議そうに"別に手は離せるけど？"なんて言ってやがる。

慌てて目線で黙らせるけど、Aはわかってねーし、野村さんはこっちの動きが不自然なのも感づいてるし

あーもう。

「俺の電話に出たくないって？」

「いや…別にそういう事じゃないです、はい」

取り繕うような返事に、野村さんは"わかった"と言った。

「やっぱり登坂だったか」

野村さんが意味不明な言葉を言って、俺が聞き返すより早くまた向こうから言葉がやってきた。

「これから何か動きがあったら登坂に連絡する」

そう言って、電話が切れてしまった後

俺は心底疲れてて全身からため息を吐き出した。

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