[doll]⑱登坂広臣 (ページ44)

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広臣side ページ44

※

「おじゃましました」

玄関でそうやって頭を下げるAに泊まって行けば連発中のかーちゃんとねーちゃん。

「無理ですから。泊まりません」

さっさとAを車に乗せて、ドアを閉めちまう。

車の傍にまで出てきてあーだこーだAに話かけてるけど

なんだかんだここまで来て見送ってくれている…らしい。

超うるせーけど。

もう一秒でも早く帰りたくで車を発進させちゃうけど、Aはいつまでも窓から手を出してかーちゃん達に振っていた。

「すっげぇやかましかったろ」

まっすぐ前を見ながら言う俺に

返事がない。

なんだ？って思って一瞬の隙に助手席を見れば

「早っ」

緊張が解けたのかホッとしたのか、窓から手を出した状態で寝ていた。

「あぶねーし！子供か！！」

路肩に止めて、とりあえず車内に引っ張り込む。

それでも起きないAのシートを倒して、そのままゆっくり寝かせておいた。

何回かその唇にキスしちゃったけどね。

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