[doll]⑱登坂広臣 (ページ5)

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広臣side ページ5

※

「新婚さん気分味わいたかったのに」

ぼそりと呟く俺に、握り返される手の感触が嬉しい。

小さいのに、はっきりした存在が俺の隣にいるっていうのは気持ちが弾む。

Aと付き合うようになって、初めてこの子に対して感じた安心感。

なんかいっつもどっか行っちゃいそうでハラハラしっぱなしだったのに

今はAが俺の傍に居る事を選んでくれたっていうのがはっきりわかる。

何があっても俺の所に一番に返ってくるってのが

それってたぶん、あのメンバーさん達から離れて俺のもとに来たって事かもしれない。

いつか言っていた、メンバーから離れないといけないっていう言葉。

皆いつか結婚するんだし、ずっと一緒にいるわけにはいかないって頼りっぱなしになっていたAが選んだ道の先に

俺がいたっていうのは素直に嬉しい。

もしかしたら変な意地張って1人で生きてくっくらいの事を言いそうなのに

そうしないで俺との人生を選んでくれたのはそれだけ信頼されていると思っていいのかな。

人当たりがよくて、素直で柔らかい雰囲気なのに

其の実すっげぇ手強い難しい子。

掴みどころがないっていうか

掴む場所が何一つなくて考えてる事が全く分からないから本当に困ったよ…。

シンさんやメンバーさん達に見せていたあの信頼した視線と同じように俺に向ける視線が本音そのもので

それ以上に、俺にだけ甘えてくるっていうのは

Aの中の一番になれたと思って

いいよね。

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