[doll]⑱登坂広臣 (ページ35)

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広臣side ページ35

※

「んじゃ、行くか」

って玄関に向かおうとしている時、突如インターフォンが鳴る。

「誰だろ？」

今日は特に来客の予定も友達が遊びに来る予定もないのに、誰だ？ってモニターを見れば花ちゃんとシンさんが立っていた。

「あれ？シンさんと花ちゃんが来たけど」

そう言うとAもびっくりしてるからたぶん聞いてないっぽい。

開錠して上がってくるのを待ってると、すぐに2人が部屋の前までやってきた。

「よかった！間に合った！」

息切れ中の花ちゃん。

俺達が出かける間際だってのを悟ってホッと一安心って感じ。

「どしたの？なに？」

不思議がるAに花ちゃんが次々に紙袋を手渡した。

細めの袋に入っているのはシンさんが用意してくれたワイン。

同じような袋に入っているのは親父さんが用意してくれた日本酒。

大きな袋には昨日お母さん用意してくれたねーちゃんとかーちゃんに渡す洋菓子。

んで、一番でっかい紙袋に入っているのが

「重箱よん♡」

「いらねーし！」

うっかり叫んじゃったよ(笑)

「そうは言ってもねぇ…このじゃじゃ馬を返品されても困るからねぇ」

頬に手を添えてうなる花ちゃんにAは抗議の視線を向けるけど、そこはさすが兄妹綺麗にスルーして。

「万が一登坂の実家で酒なんか飲もうもんならば全てが崩壊する」

そう言ったシンさんのセリフに

「あ、確かに」

なんて言っちゃった俺も俺。

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