[doll]⑱登坂広臣 (ページ20)

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広臣side ページ20

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次の日の朝は

隣に俺が寝ていないと拗ねるAのご機嫌取から始まった。

「あー、ごめんごめん。拗ねないで」

ベッドのふくれっ面のAにあれこれ機嫌を取る俺の手に乗ってるサンドイッチのお皿。

"食べる？"って聞いてもいらないの一点張り。

なにこれ、毎朝こんなじゃれ合い押し倒したくなるんですけど。

俺の事情を知らないAはまだ一緒に寝ていなかったことに拗ねてるけど

そんな事で拗ねるとか可愛すぎるし、案外この子…俺よりもこの期間限定の同棲生活を楽しんでるんじゃ…なんてことも邪推してみた。

「姫、今日のご予定は？」

ご機嫌取に伺えば。

事務所に挨拶に行くと返事がくるから、きっと移籍の挨拶と一緒に俺の事も話すんだろうってのが想像つく。

「俺が必要なら言って？すぐ事務所に行くから」

そう言ってサンドイッチを差し出せば今度は素直に受け取った。

「…おいしい」

一口食べてびっくり顔のA。

なにそれ、失礼なんですけどー。

ようやく寝室から出て支度をする俺達。

お互い仕事で出勤時間が違うけど、朝のこの時間を共有してる事がなにより楽しい時間。

先に家を出るAに、大事な事を忘れる所だった。

「はい、これ合鍵」

そう言って差し出した鍵を受け取る事を一瞬ためらったA。

「いや、これないと入れないでしょーよ」

笑いながらそう言って渡せば、両手で受け取るAが嬉しそうに笑って。

「いってきます！」

「ん。気を付けて」

元気に出かけていくAを見送って。

さて。と自分も家を出る準備を始めた。

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