[doll]⑯登坂広臣 (ページ35)

今日:1 hit、昨日:12 hit、合計:373,724 hit

広臣side ページ35

※

開いた玄関の中に少しだけ乱暴にAを放り込んでドアを閉める。

逃げられないようにカギを閉めてチェーンをかけて尚且つ予備の鍵も掛けちまう。

「んじゃ、色々聞きたい事あるんで。

　ちゃんと全部、話してもらおーか」

身長差を利用して上から強めに見下ろせば

ウサギみてーに怯えたAが俺を見上げたまま硬直してる。

「なに？俺に会いに来たんじゃねーの？」

グイグイと強引に部屋の中に推し進めれば、靴を脱いでリビングに到着する。

そのまま俺に押し切られる形でAがソファーに座った…。

「シャワー浴びてくるからテキトーになんか飲んでて。
　
　酒はダメだから。つーか水飲んでろ水。泣きすぎて声枯れるぞ」

それだけ言い残してバスルームに行く俺だけど。

ぶっちゃけどうにもできないぐらい緊張してる。

それをごまかすように強い口調になってた事を反省しながらシャワーを浴びるけど

会いたいと思っていたAが向こうから突然やってくるなんて…不意打ち過ぎて心の準備が何一つできていない。

こんなんだったら、さっき楽屋で"会いに行く"って決めてから帰ってこればよかった。

そしたらもう少し、優しい言葉を向けれたのに…。

自己嫌悪を引き連れてシャワーを出れば、さっきのままソファーの上でちょこんと座るAがいた。

・