[doll]⑯登坂広臣 (ページ30)

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広臣side ページ30

※

歌を歌っている時は余計な事を考えなくて済むから好き。

これに振りが入ると…慣れない事だから必死になるんだけど

歌だけの時は自分の世界を作り出せるからそこに染まれるようで落ち着くっていうかね…。

Aと別れた直後、苦手だったcosmosも

今はしっかりと歌いこなせるようになって、歌詞に込められた意味も表現できるようになったように思う。

それだけ色んな事を感じ取れる能力が上がったというか

感性が豊かになったというべきか。

ライブの最後にこの曲を歌った時。

チラッと見えた観客席で泣いている子を何人か見つけた。

俺の歌に乗せて俺自身の感情が伝わったのかもしれないと自惚れてみるけれど

きっとそれってあながち間違いじゃない。

俺の経験と感情が歌に乗って行ったんだとそう思えた。

なんだろう。

今日はすげぇ歌ってて楽しかった。

いつも歌う事はなにより楽しい事だけど、今日は特に。

なんでだろう…。

Aが戻ってきたからかな…。

全てのパフォーマンスが終了して、幕が下りる時。

頭ん中にAの笑顔が浮かんだ…。

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