[doll]⑮登坂広臣 (ページ50)

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広臣side ページ50

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次の日は予定通りスタジオに入る事が出来た。

体調もかなり回復している。

「おはようございます」

マネージャーさんに連れられて、スタッフさんに挨拶をしながらセット付近に連れていかれる俺に、向こうからやってきたモデルの子。

えーと…名前名前………、名前…。

ちゃんと企画書読んだはずなんだけど、どうしてもド忘れしちゃう俺はもう歳か？

ごまかすように笑顔を振り巻いて、俺のところにくるその子に頭を下げた。

「初めまして、登坂広臣です」

「三代目さんの大ファンです、水瀬かなです。よろしくお願いします」

あ、そうそう、水瀬さん。思い出した。

「かなちゃん、って呼んでいいかな？」

「はい！」

目の前で笑ってくれるかなちゃんに自然と俺も笑顔になる。

不思議と初めて会う人なのにあんま緊張しない。

しかも、雰囲気が柔らかくて落ち着くっていうか…和む感じ。

モデルさんだから俺より少し背が低いぐらいの長身だけど、カッコイイっていうイメージより

可愛いっていうイメージが強い子だった。

「今日かなり緊張してるのでご迷惑おかけするかもしれません…」

不安げに言うその言葉が少し震えてるから、ああ本当に緊張してんだなって

この世界でありがちな仮面のないこの子に、ほんの少しの興味が生まれた。

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