[doll]⑮登坂広臣 (ページ47)

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広臣side ページ47

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こういう時。

流行りの月9とかのドラマだと実際は飛行機に乗ってなくて、ここにあいつがやってくるっていうハッピーエンドの結末が待ってるんだろうけど。

現実世界、そうそう夢みたいな事は起こらない。

インターフォンなんて鳴らないし、ラインだって来ない。

フライトを取りやめたならシンさんから連絡が来てもいいのに、当然こない。

間違いなくAはあの飛行機に乗っていて、ドイツに向かっている。

やってくるのはハッピーエンドなんかじゃない。

でもバッドエンドともまた違う、俺達の別れって一体なんなんだろ。

一言で説明するのは無理だけど

好きなのに別れたんだからバッドエンドかもなって呟いて。

結局なんだかんだ未だにドラマの話みてーなもんに縋る自分に苦笑い。

あいつはもう綺麗さっぱり情を断ち切って行ったってのに。

未練がましい自分をいい加減捨てきるように出かける準備。

簡単にマスクに帽子。

携帯と財布だけ持って。

扉を開けて、

足を一歩踏み出した。

手の届かない場所へ行った14時05分

俺の世界からAがいなくなったこの時間。

止まりかけていた俺の時間がようやく動き出す。

バッドエンドなんてこんなもん。

乗り越えちまえばもう涙も出ない。

いつかまた、誰かとの時間が進むことがあれば

その時間を大事にしよう。

今は1人の時間を楽しむ時なんだろう。

マンションを出て、賑やかな街を自由に彷徨った。

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