[doll]⑮登坂広臣 (ページ46)

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広臣side ページ46

※

壁にかけられている、MV撮影で言った海外のアンティークショップで一目惚れして買った大型の時計。

馬鹿みたいにでっかい時計の針をただただジッと見つめた。

11時になって

12時になって

13時になって

…14時。

当然もう空港には間に合わないけど、携帯を持ってベランダに出る。

春なのに夏みてぇな強い光で、ライブの時のスポットライトみてーに俺を照らしてる太陽。

なんか憎たらしいぐらい暑い。

光をよけるように手をかざせば雲一つなくて、真っ青な空が。

見上げた瞬間、時計は14時05分を指し示した。

開いた携帯はなんの通知もなく静か。

Aとのライン画面も、変わらない。

今俺がいる場所も

今俺が見ている風景も…なにも変わらない。

ただ、しばらく見上げていた青い空には、白い一機の飛行機が向こうの方へと飛んでいくところが…。

「ドイツって、あっち？」

場所がよくわかんねーけどさ、飛行機が向かう方向へ視線を投げて。

「戻ってくんなよな」

そう言って部屋に戻った。

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