[doll]⑮登坂広臣 (ページ42)

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広臣side ページ42

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「キツイ事聞いてすまん。せやけど、臣ちゃんの事が心配やねん。

　あんなボロボロになったん初めて見たわ」

「…ごめん」

素直に謝れば、意外だったようで慌てる健ちゃん。

いつもの振る舞いに戻りながら、鼻の頭を掻いた。

「いや…まあ…。

　あ、明日休みやろ？一緒に釣り行かへん？」

最近誰もついてきてくれないからって誘わなくなった釣りに、健ちゃんがきっと気を遣ってくれて俺を誘う。

フライト時間から気を逸らせようとしてくれてるんだろうね、ほんと優しい。

「行かない」

「即答かい！！」

健ちゃんなりに明日の俺を心配してくれたんだろうけどね。

でも大丈夫だよ、俺はもう。

先に送ってもらった自宅前で車を降りて、健ちゃんに手を振った。

「大物釣ったら写メ送ってねー」

「おう、まかしとき」

そう言って、あっという間に車は去っていく。

1人この場で佇む俺は、もうすでに

健ちゃんと釣りに行けばよかったなー、なんて後悔していた。

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