[doll]⑮登坂広臣 (ページ5)

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広臣side ページ5

※

「あいつがAを襲った瞬間に踏み込んで、殺人未遂の現行犯逮捕。

　これが措置入院させることができた理由」

話しの終結を知らせるように、シンさんがまた箸を持つけれど

続く沈黙を破る人は誰もいなくて、静まり返った時間がただ過ぎていった…。

コウタって男はいつ…あんな風に捻くれた感情を出すようになったんだろう。

今までの話を聞いて、そんなことが気になった。

好きな人に振られたら、悲しいけれど仕方がないって思う人間と

なんとかして縋ったり、もう一度好きになってもらおうと努力したりする人間がそれぞれたくさんいると思う。

あんな風に手に入れたい一心で、その気持ちが暴走して誰かに取られる前に殺してしまおうとか考えるのって

あの男の人格形成から問題があったとしか思えない。

結局、あいつがきっと自分でも気づかなかった本性を現すきっかけとなったのがAという存在であって

それがたまたまだったって事も十分あり得る。

いつの間にかコウタにとってのアイデンティティはAで

その真裏にAというクライシスが存在したから、もう理性も人格も崩壊して

ただのモンスターに成り下がったんだと…

なんていうか

悲しい人生だなって…そう思った。

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いつの間にかコウタにとってのアイデンティティはAで

その真裏にAというクライシスが存在したから、もう理性も人格も崩壊して

ただのモンスターに成り下がったんだと…

意訳↓

いつの間にかコウタにとってのよりどころがAになっていたのに、

コウタにとって隠れた本性をくすぐるスイッチのような危険な存在もまたAであったことから、愛故に拒まれた事で崩壊した理性が凶暴性を持って

Aを襲うという行為に走った。

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