[doll]⑮登坂広臣 (ページ39)

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広臣side ページ39

※

「え？シンさんから連絡来たの？」

隆二がすぐに反応して、心配そうに俺を見る視線に頷いてから

そのラインを開封する。

そこには特に懐かしむ挨拶もなければ近況報告的なものもなにもなくて

やっぱりシンさんらしく、短い文章が一つある。

「明日、Aが14:05分の飛行機でドイツに発つ…って」

そう言って、不安そうな顔になるのは俺じゃなく皆の方。

「はは。なんて顔してんの」

6人が全員同じ顔で笑っちゃうよね。

そんなに俺の事心配してくれるなんて、マジ嬉しい。

「見送りに行くの？」

それって要するに引き留めに行くの？って聞いてるようなもの。

もう泣きそうな隆二に俺は首を横に振った。

「行かないよ」

それだけ言って、返信せずに携帯を閉じる。

「ようやく振り切れたのに、またぶり返す必要なんてないでしょ？

　シンさんも面倒見がいいだけなんだろうけど、もう俺とAの間を取り持つ必要ねーのにな」

それだけ言って、スタッフさんからかけられる声に立ち上がった。

「んじゃ、ラストがんばりましょっか」

不思議と自分の気持ちが乱れる事がなく、俺はいつも通りの登坂広臣でカメラのレンズの前に立った。

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