[doll]⑮登坂広臣 (ページ31)

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広臣side ページ31

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隆二の肩で泣いて、ようやく落ち着いた俺を無理矢理に飲みに連れ出してくれたメンバー。

正直酒を飲みたい気分じゃねぇけど、かと言って家に1人で帰るってのも無理。

賑やかな居酒屋の個室で、葬式みてぇに静かな俺達。

「あー…まあそんなに気ぃ使わないで」

俺のせいだってわかってるからなんとかこの場を盛り上げようとしてるのに、それが余計に滑稽だったのか

皆の俺を見る目がすげぇ寂しいものを含んでる。

「待ってるとかって話はしなかったの？」

直人さんが少しでも可能性があるなら、そこに縋ってみるのもいいんじゃないって言うけれど

帰ってくるなんて話は聞いてないし、待っててとか待ってるとかの話にすらならなかった。

「たぶん、もう一生日本には帰ってこないんじゃないっすかね」

それこそ向こうで結婚なんてしちまえば、永住権だって手に入れられるわけだし。

そしたらもう完全に安全が保障されるしね。

「帰ってきちゃ…

　ここに戻ってきちゃだめなんだよ。あいつは。

　ここは危険だから…」

そう言って、さっきあれだけ隆二の肩で泣いたのに

また涙が出てくるから不思議。

もう一生分の涙を今日流したと思う。

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