[doll]⑮登坂広臣 (ページ30)

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広臣side ページ30

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ヒロさんと別れて荷物を取りに戻れば、三代目メンバーだけが残っている状態。

他の皆は帰ったのか…それともメンバーが気を利かせて俺達だけにしてくれたのかわかんねーけど

三代目の皆がいると正直ホッとする。

特に今、心が寂しい時は特に…。

俺の姿を見て、そっと集まってくれる辺り男の友情のありがたさを知り

男ならではの不器用な優しさが心地いい。

「ごめん、臣の口から言うべきなんだろうけど、俺が少し話しちゃった」

申し訳なさそうに言う隆二に、"サンキュ"って笑って見せた。

正直ありがたいって思ったし、Aの事を口にするのはまだまだつらい。

説明すること自体に苦しさが湧いてくるのを隆二はわかってくれているんだと思う。

「たぶん、俺じゃあもう説明できそうにないから」

そう言って下がった視線が床を捉えると、そこに小さな水の粒が落ちていく景色。

ポタポタといくつもの滴が落ちて、広がって…

また落ちていく…。

「臣…」

戸惑う隆二の俺を呼ぶ声を耳にして、余計に涙が止まらない。

誰かに吐き出したかったんだってわかったこの気持ちを聞いて欲しくて。

親友の肩を借りて

しばらく泣いた。

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