[doll]⑮登坂広臣 (ページ1)

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広臣side ページ1

※

誰かにケガを負わせたりがなかったのが唯一の救い。

でも、そういう思いをして逃げてきた人たちがいるシェルターで、理不尽に暴れまわるというのはそこにいるすべての人に恐怖を植え付けるわけで。

しかもシェルターなんて簡単に見つけられるもんじゃねぇのに。

あいつはどうやって…。

「あの男も厄介だが、あの男の親もかなりクセがある」

そう言って大きなため息をついた親父さんは少し疲れたような顔をしているようで

この事件は関わったすべての人が陰湿な空気に飲み込まれて行くようだった。

話しの最中に食事なんて進むわけもなく、俺と隆二はじっと親父さんを見つめているけれど

向こう側で1人箸を動かすシンさんがそっと口を挟んだ。

「お前たちが守ってくれた後にあんまり言いたくないんだけどよ…。

　また、あいつがAを連れて行こうとしたんだよ」

そう言って箸を持つ手がゆっくりと動いて隣のAの方に。

ふわふわ揺れる少し長めの前髪を掻き上げると。

「な…にそれ…」

左上…生え際の辺りが青く膨れ上がっていた…。

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