[doll]⑫登坂広臣 (ページ50)

今日:9 hit、昨日:2 hit、合計:462,684 hit

広臣side ページ50

※

「ピンポイントでここ狙ってきやがった…」

シンさんが吐き出した言葉に、さっきの岩ちゃんの言葉が蘇る。

「もしかして自分が誰かって知らしめようとしてきたんすかね」

俺が聞けば。

頷くのは○さん。

「そうだろうね。ここが登坂の部屋だって事わかってたんだよ。

　きっと今回はお前に接触するのが目的だったんだろう。お前は俺達以外で唯一あいつの顔を知ってるヤツだから」

○さんが言う言葉に、この狭い室内が一気に緊張に染まった。

「…"ここにもいない"…って、あいつそう言った…。

　でも他の部屋を調べてないのになんでそんな事言ったわけ…？」

極度の緊張が苛立ちを生んで言葉が荒くなる。

イラ立ちが弱点になる事なんて分かり切っているのに、自分の感情が抑えきれない。

なんでさっきあの至近距離に対峙したのに、一発殴る事も出来なかったんだって自分にイライラが募って。

あそこで取り押さえておけば、この恐怖が続くことも

Aに迫る危険が続く事もなかったのにって…。

「プレッシャーを与えてきてるね…。

　Aを探しているという事を知らしめて、潜入してる事も見せつけてきた」

○さんがほんの少しだけ悲しそうな顔をして、"俺にはわかるんだよね"って

そう言って俺を見た。

・